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今回のコラム
ミツバチがいなくなる?・・・ネオニコチノイド系農薬のこと
5月19日、厚生労働省は農薬の食品残留基準をゆるめることを決めました。これによって、ネオニコチノイド系農薬のひとつ、クロチアニジンという殺虫剤では、ほうれんそうで従来の13倍(40ppm)に引き上げられたということです。
ネオニコチノイド系農薬については以前「ミツバチがいなくなる?」でもお伝えしました。近年多く使われるようになった新しいタイプの殺虫剤で、農業用だけでなく家庭用の殺虫剤や、ペットのノミとり・シロアリ退治などにも使われています。害虫の神経のはたらきを乱す「神経毒性」が強く、水溶性で作物に浸透して洗い落とせないので、効き目の長い農薬です。イチゴやメロン、スイカ、ナシ、ナスなどの受粉に欠かせないミツバチの大量死の原因ともされていることから、EUでは2013年に一時使用禁止に、そして今年になってアメリカでも、使用拡大が禁止されたばかりです。
海外で使用禁止になるような農薬の残留基準を、どうして日本ではゆるめてしまったのでしょうか?
農薬の残留基準は、国際基準などをもとにあらかじめ定められていますが、農薬メーカーなどから新しい申請があるごとに見直す仕組みになっています。今回は、農薬メーカーからクロチアニジンの使用申請があり、メーカーの実験によると、ほうれん草で基準の7倍の値(27ppm)となりました。厚労省はこれに幅を持たせて、基準値を40ppmに緩和した、ということです。この値はADI(1日摂取許容量)を下回っており、人体への健康影響は考えられないとしています。
不安に思われるのは、人体への影響はこの農薬単体だけでなく、ほかの多くの化学物質との関係で現れるのではないかという点です。つい最近、普通の食品から有機食品に転換すると尿で排出される農薬が検出されなくなったという記事(*)が話題になりましたが、農薬は血液を介して体内を巡ります。複数の農薬の複合的な影響があるかどうかについては調べられていません。
また、欧米では、健康への影響だけでなく、ミツバチの大量死なども含めた環境への影響も考えて、使用そのものを禁止したネオニコチノイド農薬ですが、今回の緩和では、環境への影響が考慮されていないことから、市民団体などからは反対の声があがっています。
農薬は空気や水を通して自然環境に広がっていくもの。そこにはミツバチだけでなく様々な生態系が息づいています。人体への安全性はもとより、環境や生態系に配慮した技術や、使い方の繊細さが求められています。
[参考]
ミツバチがいなくなる?・・・ネオニコチノイド系農薬のこと(とくっちバックナンバーより)
(*)有機食品だけで2週間生活したら、体に大きな変化があった(ハフポストジャパン)
あいうえオーガニック
- 赤かぶ
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都会の食卓ではあまり見かけない赤かぶも、山里に足を運ぶと、おみやげ屋さんではお漬物、宿では小鉢に姿をのぞかせてくれます。その鮮やかな赤は、目で楽しめて、口に運べばシャキッとした歯ごたえ、喉を通るジューシーな味わいにはふっとした土の香りを感じさせてくれます。まさにこの季節ならではの楽しさですね。
カブはアブラナの一種で、白菜やキャベツ、そしてお漬物に使われる野沢菜や高菜も同じかぶの仲間です。古くから親しまれてきた野菜のひとつで、赤かぶの起源は遠くアフガニスタンあたり。8世紀ごろに中国から日本に渡来したといわれています。
日本では、色も、味わいも、そして形も違う、約80種類の在来品種として日本各地の、主に山間部で定着しました。寒いところでも育ち、根も茎も全部が利用できるなどの利点から、古くから山の自給用作物として継承されてきたのです。もとの中国や欧米諸国にはこんなたくさんのバリエーションはないそうで、まさに日本の伝統野菜の代表格と言えるでしょう。
赤かぶにたくさん含まれる色素、アントシアニンは活性酸素を抑制し、根に含まれるアミラーゼは胸焼けや胃もたれの解消・予防に効果があるといわれます。葉は抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンCのほか、カルシウムや鉄、葉酸なども含まれています。
少ない肥料、寒い場所でよく育つ赤かぶは、土と気候の違う平地で育てても、山でのようにおいしくは育たないそうです。手に入ったらぜひお試しいただきたいのが甘酢漬け。作り方はカンタンです。
よく洗いスライスした赤かぶを塩で下漬けして水を出し、これをお酢と砂糖の甘酢に漬けます。すると赤かぶの色のもとになっているアントシアニンに酸性の酢が反応して、赤いかぶが、さらに赤く鮮やかに発色するようになります。漬けて4、5日から1週間で、鮮やかさが食欲をそそる、秋の味覚が完成。着色料も何も使わず、美しい秋の彩りを楽しんできた、山の人々の知恵がしのばれる一品です。「オーガニック物知り事典 [あいうえオーガニック] 」は今回で最終回です。
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