オーガニック・プロのなぜなにコラム あんしん、おいしい、タメになる とくっちオーガニック
- オーガニックマーケティング協議会って何?
- [オーガニック]の実践・普及・促進を目的とした非営利の協議会。 らでぃっしゅぼーや、オーガニックスーパー、有機JAS認証機関などを設立してきた徳江倫明が推進役となって、全国の有機農家、各界の専門家が連携し、分析・調査・提言を行う、[オーガニック総合シンクタンク]です。
今回のコラム
ワイン
ワインの起源ははるか昔にさかのぼります。ぶどうの果実が地面に落ちて崩れて、表面についた天然の酵母で自然に発酵したことからはじまったと考えられていて、紀元前4、5千年にはすでに多くの人々に親しまれていたとか。メソポタミアの遺跡からは、果汁を搾る石臼が発見されており、ワイン用のぶどうも栽培されていたそうです。
さて、健康に良いワインですが、表示を見ると、ほとんどの製品に亜硫酸塩という添加物が使われています。どんなものなのでしょうか?
ワインの醸造では、風味を悪くする酸化が大敵です。皮をむいたとたんに変色するリンゴと同じで、ワインの原料となる果汁は、しぼられた瞬間から酸化が始まります。亜硫酸塩は、これを防ぐ目的で加えられるのです。果汁が傷まず雑菌も抑えられるので、発酵がスムーズに進みます。また、ビンテージワインのように、長く熟成させるためには、びんの中に残った空気や、瓶で寝かせている間にコルクから入り込む微量の酸素にさえも気を配ります。このため、最終のびん詰めのときにも加えられます。
18世紀ごろ、ワインを熟成する樽の中でイオウを燃やすとワインの保存に良く、品質も劣化しないことが経験的に知られるようになりました。イオウの煙が雑菌を殺し、ワインにも溶け込んで酸化を防止するのです。この働きをする成分が二酸化硫黄で、亜硫酸塩は、これと同じ効果をもたらすことから、伝統的な技術として定着しました。
亜硝酸塩の添加は、日本も含めて許容量が国ごとに定められています。欧米のオーガニック基準でも、必要不可欠なものとして、国の基準より厳しい許容量を定め、最小限の使用が認められています。
伝統的な製法を守ったうえで無添加を実現することは困難とされていますが、最近は無添加にこだわったワインも見られるようになりました。スーパーなどでよく目にする「無添加ワイン」。値段もお安く、びっくりしてしまいますが、多くは輸入の濃縮ぶどう果汁を原料に、細菌を除去するフィルターでろ過するなどで短期間で量産するもので、生の果汁を加熱せずにつくるワインとは製法も風味も異なります。
あいうえオーガニック
- 焼畑のかぶ
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カブはアブラナの一種で、白菜やブロッコリー、キャベツと同じ仲間です。古くから親しまれてきた野菜のひとつで、色、味、形も様々な、各地の地方野菜、伝統野菜として日本各地に根づいています。シャキッとした歯ごたえ、喉を通るジューシーな味わいに土の香り。根の部分だけではなく、 葉もおいしくいただくことのできる野菜で、お漬物に使われる野沢菜や高菜も同じかぶの仲間です。
葉は栄養豊富で、抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンCが多く含まれ、カルシウム、鉄分、葉酸なども含まれています。根にはデンプンを分解するアミラーゼという酵素が含まれ、胸焼けや胃もたれの解消・予防に効果があるといわれます。
そんなかぶは、救荒作物として大切につくられてきました。救荒作物とは、凶作のときにも収穫でき、お米など主食の代わりに飢えをしのげる作物のことです。冷害や干ばつに強く、短い期間でも収穫ができるかぶは、特に山間地で多くつくられていました。
有機物が少ない山間地では焼畑が行われました。木を刈り倒した跡に火を放って、そこにそば、大豆、雑穀、そしてかぶなどを植えて収穫したのです。そばやかぶは、山焼きのあとに種まきをすれば、その年のうちに収穫ができます。山を焼く夏にはイネの育ち具合もわかるので、生育が悪いような年は種をまく量を多くするなどで備えることがができたといいます。ちなみに焼畑は、燃やしてできる灰が土を中和して、肥料分を補うほか、熱が雑草の種や病原菌を殺すなどで、農薬も化学肥料もいっさい使わない伝統農法です。
冬の声を聞くころに収穫が始まるかぶは、少しのお米に混ぜて炊きこんだご飯「かてめし」として、お漬物としていただき、春の訪れを待ちました。