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- [オーガニック]の実践・普及・促進を目的とした非営利の協議会。 らでぃっしゅぼーや、オーガニックスーパー、有機JAS認証機関などを設立してきた徳江倫明が推進役となって、全国の有機農家、各界の専門家が連携し、分析・調査・提言を行う、[オーガニック総合シンクタンク]です。
今回のコラム
ミツバチがいなくなる?・・・ネオニコチノイド系農薬のこと
花の季節はミツバチの季節です。はちみつは、ミツバチが花の蜜を集め、巣の中で貯蔵したもの。自然界で最も甘い蜜といわれ、その約8割は糖分、そのほかビタミンとミネラル類なども含んでいます。味わいや色あいは花の種類によって様々ですから、季節とともに変化する味わいも楽しいものですね。
ところがいま、世界の国々でミツバチが姿を消す、というなんとも不気味で不可解な現象がひろがっています。ヨーロッパやアメリカ、そして日本も含めた多くの国で、働き蜂が巣に戻らず群れごと消えてしまう、「蜂群崩壊症候群(CCD)」が発生しているのです。
原因は定まっていませんが、一般的には、世界的な女王蜂の不足や伝染病、ダニの寄生、農薬の被害など、さまざまな原因が重なって起こった、とされています。日本では2009年に長崎県でミツバチの大量死が確認され、農薬との関連性が高いとされています。そこで問題視されているのが、ネオニコチノイド系農薬という化学合成農薬です。
ネオニコチノイド系農薬は、これまで有害性が指摘されてきた有機リン系農薬に替わって、近年は日本でも多く使用されるようになってきています。構造がタバコの成分であるニコチンに似ているので、ネオニコチノイドと呼ばれるようになりました。神経の正常なはたらきをかく乱する(神経毒性)、水溶性なので作物に吸収され、洗い落とせない(浸透性)、残効性が高く、地中に長く残留しやすいなどの特徴があります。
主に殺虫の目的で野菜・果物の栽培や、家庭用の殺虫剤・ペットのノミとり・シロアリ駆除などのほか、建材や森林・公園の樹木の松枯れ防止にも使われています。少ない量で殺虫効果が高く影響も持続するので、「減農薬」を表示することができ、なんと特別栽培農産物にも使用されます。農薬の使用回数を減らすことができるからです。
ミツバチが花から花へと花粉を運ぶはたらきは、今やイチゴやメロン、スイカ、ナシ、ナスなどの受粉に欠かせないので、農業全体に深刻な影響が及ぶと考えられています。水溶性で浸透し、洗い落とせないとなると、食品への影響も気になります。前回このコーナーで新茶のお話をしましたが、摘み取りから製茶して5分の1に乾燥させてお湯で出すお茶には滲出しないのでしょうか。お茶だけではなく、作物への残留はないのでしょうか?
規制が進んでいるEU諸国に比べ、日本でのネオニコチノイドの残留基準は緩いとの指摘もあります。生態系、人体への影響も含めた原因の解明と対策が求められます。そして何より、化学合成農薬を使わない、有機栽培への転換が必要なのだと思います。
参考サイト:ネオニコネット
あいうえオーガニック
- レタスの旬はいつ?
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レタスがおいしい季節になってきました。高原のイメージが強いせいでしょうか、旬はいつ?と聞かれると、夏と答える方が多いようです。夏に出荷されるものは長野県などの高冷地でつくられる高原レタスとして親しまれ、6月から10月ぐらいまでがシーズン。今が旬のレタスはその手前の時期、平地で栽培される春レタスです。
レタス(lettuce)の語源をご存知ですか?ヨーロッパを原産地とするレタス(lettuce)という呼び名は、ラテン語のラクチュカ(lactuca)、乳を意味するラクlacがそのおおもとなのだそうです。どうしてかというと、茎の切り口から染み出る白い液を乳に見立てたとされています。日本での古い呼び名「ちしゃ」も、乳草という漢字名が変化したものなので、はからずも同じ見立てをしていたんですね。
春レタスは、4月から5月にかけて出回り始めますから、ゴールデンウイーク明けの今ごろが、平地での旬にあたります。この春レタスは、害虫の被害を受けにくく、農薬を使わずにつくりやすい時期に生長します。レタスの生育適温は18℃から23℃あたりで、人間も過ごしやすいこの季節は苦味も少なく、レタスをおいしくいただくのにいい季節といえるでしょう。秋のものはお盆過ぎから植え付けて、10月から翌年3月にかけてが旬、ということになります。
レタスは暑さが苦手なので、日中の気温が25℃を超えるような季節や地域ではつくることができません。暑さで傷んだり、花芽が早く生長(とう立ち)してしまうのです。生長もにぶって、苦味が強くなりやすいと言われています。地球温暖化とも言われる近年、標高が千メートルを超えるような高原地帯でも、30℃を超える日が何日かあるといいますから、真夏を通して出荷するのが日に日にむずかしくなっているそうです。また、キャベツなどと比較した場合、虫には食われにくい反面、傷みの部分などから有害菌に犯されやすくなるので、優秀な農家でも、暑さがピークの時期の栽培では殺菌剤を使わざるを得ないのが実情。高原レタスも、暑さが和らぐ時期がよいのです。
ちなみに、レタスの値段は、平地での出荷量が多くなる春や秋に、市場に出回る量も多く、求めやすくなります。旬を大切にしたいものですね。